再生医療と脂肪注入について
その1.再生医療と脂肪移植について
現在の最先端の医療では、再生医療というものが考えられています。
これは、異種のものを移植しても拒絶反応を起こすために、自分の組織を培養したりして利用しようという考え方です。そして、実際に神経の再生治療やパーキンソン病の治療などが行われています。
じつは、この治療法は私が行っている自家脂肪移植の考えと一致するものです。10年来、自家脂肪移植を利用した治療を千例近く行ってきましたが、そこでわかっていることは、少量の移植は生着率が高いこと、移植する場所は同じ脂肪層であること、血流が豊富な方が生着に有利なこと、しばらく安静にしておいた方がよい結果が得られることなどです。
これらのことから、豊胸術としての脂肪移植をはじめ、目のくぼみ、頬やこめかみのくぼみ、口周囲のしわ等に応用しており、採取法の簡便さを図り違和感を生じないためと効果を出すために少量の分割注入法などの工夫を加えてきました。
さらに、脂肪のもつといわれるホルモン作用や一部線維組織に置き換わって張りが出る効果、自分の組織ゆえの生着性や安全性などから有益な点が多い治療法になっています。
その2.再生医療による豊胸術の始まり(平成16年版)
以前に最先端医療として再生医療が注目されている事を書き、実際にパーキンソン病や神経再生医療が行なわれている事を書きました。そして、臓器の再生が不能だと思われていた人達にも光明が見え始めました。これは、自分の体の中に他の細胞に分化する能力のある細胞がある事がわかった事によります。
骨髄に幹細胞と呼ばれる分化能力のある細胞がある事が知られていましたが、これが脂肪細胞にも存在する事がわかり大きな可能性が開けたといえます。それは、脂肪細胞は体に多くある上に、骨髄細胞より容易に採取出来るからです。
日医大の水野先生によると、この脂肪細胞由来の幹細胞は液状脂肪に存在し、 100 mlの脂肪組織から約 4 × 10 の 7 乗個の細胞が得られ特別な増殖因子を必要とせず、コントロール培地で容易に増殖する性質があるとの事です。
そして、本年 1 月 21 日東大病院でも腹部の脂肪細胞由来の幹細胞を用いて豊胸手術を行なったと報じられました。当院でも2月中旬に、この原理に依って実際に豊胸術を開始して経過を見る事にしました。