最近の美容外科事情について(平成19年版、その②)
前回、きちんと美容外科手術の習得なしに、安易に開業して機械に頼ったり、確立しているとは言い難い治療法をしていることが美容外科の状況を不健全なものにしているという内容について書きました。
2点目としてチェーン展開している美容外科について触れてみたいと思います。こういう病院については、玉石混交というべきだと思います。一部には、手術経験も豊富な医師もいる一方で、つい最近まで内科系の研修医だった先生が、すぐに執刀するということもあるのです。このこと自体は、一般の病院でも卒業後間もない医師が執刀することもあるので別に驚くことではないと思うのですが、一般の病院では、ある程度オーベンと言われる指導医がついて研修するのが一般的です。
ところが、チェーン店の場合、そういうことがあってもなかなか十分に指導の行き渡らないことも多いのです。そのため、それまである程度外科的経験を積んでいたり、知識や医療倫理のある医師であれば良いのですが、右も左もわからないような医師がわずかの指導のもとに出張して手術をしている例も見られるのです。そのため、こういったチェーン店では、なるべく技術を要しない治療に主力を置くようになっていきます。
それが例えば、効果は不確かながら注射して脂肪を燃焼させてやせられるとか、ヒアルロン酸のような吸収性素材を用いた豊胸をすすめたり、ただ顔に糸を埋めこんでタルミ取りと称する治療をすすめたりします。いずれも満足な効果を期待するのは中々難しい治療法ですが、病院が経営を考えると止むを得ない面もあるのかもしれません。
このことは、患者にとっても決して良いとは云えませんが、美容外科全体とっても、結局は信用を失いその健全な発展を阻害する要因だという気がします。ただし、こういった背景には、医療全般に対する最近の容赦ない社会の風潮や軽視した医師の扱いがあり、そのことが医者がリスクを取れない、取りたがらないことを生み、医療の発展の阻害になっていることもあると思います。